常平の麺

常平の麺

2003/03/23更新

2003年1月12日から3月13日まで中国へ行ってきた。 2ヶ月も滞在したわけだが、旧正月の2日間とその1ヶ月後日帰りで香港へ出たほかは、 毎日毎日、広東省東莞市常平鎮にある会社に通っただけである。 でもその忙しいさ中、なんとか炸醤麺を食べることができた。


到着初日、台湾人向けらしいレストランで京都炸醤面を発見。 早速注文する(京都とは北京の別名だと思っていたが、 その後親しくなった上海人に聞いたところ、「中国の京都は北京。 日本の京都は東京。アメリカの京都はワシントン」だと教わった。 辞典を引くと確かにその通り)。


出てきたのは黄色く熱い麺。台湾式の特徴と思われる豆干が入ってる。 しかしこの麺、港式の細くて固いのとは違う、太さや食感はまるで 日本の札幌ラーメンの麺。


というわけで、後日再度訪問。おもしろ半分で日式味噌湯面を食べようと思ったが 無いとのこと。川味担担面を注文する。 上のひき肉がやや辛いが、スープには唐辛子が全く入っていない。 麺は京都炸醤面と同じ。味噌は使っていないと思うが、 日本の味噌ラーメンそっくりであった。

ホテルの近くに北京や東北の料理を食わす店はないのだろうか?


先に来ている同僚に聞くと「餃子館」という店が あるという。行ってみると明らかに東北料理屋である。 こういう店には白麺の炸醤麺があるはずである。店の名は 連鎖餃子館・黒天鵝。


メニューを見る。肉絲炸醤面、鶏蛋炸醤面。 肉絲は細切り肉。中国で単に肉といえば豚肉のこと。 鶏蛋はニワトリのタマゴのこと。肉絲炸醤面を注文する。


期待通り。
味噌の香りがする。麺は白くて平たくこしがある。 しかし、麺が冷やしてあるのは中国で初めてである。 キュウリが載っていて炸醤は別添え。このスタイルは、 今は無き吉祥寺・龍と同じだ。


同僚がそのまま食べようとすると、小姐に混ぜられた。


別の日の肉絲麻辣湯面。麺は炸醤面と同じ、白くて平たい麺。 冷やしていないのでこしは足りない。 今にして思えば、肉絲清湯面も食べて記録しておくべきで あった。

出張先の会社の周りやホテルの周辺でも、10分も歩けば「東北人」とか 「北方式」とかかれた店がいくつもあることがわかった。 餃子というのはなじみ深い食い物なので「餃子館」に行く日本人は 多い。しかし注文するものは、煎、水、蒸の3種類の餃子と炒飯または白飯 というのが標準で、麺まで注文する人はめったにいないようである。 最近中国へ行く日本人が多いのに、ネット上に炸醤麺の情報が少ないのは、 こんな事情があるわけだ。


「文霞焼[火考]城・東北風味」の炸醤麺も、冷たく白く平たい麺。


ハルピン出身の小姐から聴き取り調査中。


春節。
小さい花火は手で持って。


打ち上げ花火はビルの谷間で。
こんな騒ぎです。


テレビの中も正月真っ盛り。
どうやら正月と炸醤麺の関係について解説をしているようなのだが・・・・


スーパーで平たい白麺の出前一丁炸醤拌拌面を探したが、見つかったのは日清UFO炸醤炒面だけ。 韓国のチャジャンミョンは売ってるのに。
でもこんな煙台産のソースを発見。


数あるコピーVCDの中から発掘。これはオリジナルでしょうね?内容はいずれまた。

2月1日列車で香港へ。数時間歩き回っただけだが、高級そうな北京料理店はあっても、 麺中心の東北料理店は少ない。 一方、東莞には中国全土から多くの労働者が流入している。 彼らの胃袋を満たすために各地の料理も集まっている。 それも安価なごく一般的な料理がだ。しかし、香港の 書店では「ウー・ウェンの北京小麦粉料理」の中文版が売ってるのを発見した (炸醤麺の材料の「信州みそ」が、「信州味噌」と直訳されていたが、 香港の読者はどこで買うのだろう?)。東北からの労働者が香港に 入境するのは容易ではなさそうだが、こういう日本で発行された本で、 東北料理の白い麺の炸醤麺が香港に伝わるとしたら面白いことだ。

香港には一泊してまた東莞に戻った。それからは仕事が大忙し。ホテルに戻るのは 午前0時を過ぎることもしばしばで、深夜までやってるホテル近くの 四川料理店にばかり行くことになる。というわけで、続きは「常平の四川麺」をどうぞ。

geminizz@hamakko.or.jp

荒川文治(あらかわ ふみはる)
神奈川県横浜市

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