刀削麺を刀から作る

刀削麺を刀から作る

2005/06/26登録

熊本のけんちゃんさんさんからの報告です。



先ずは、生地作り編です。 以前より、刀削麺は、時々作っていたのですが、最初からある程度上手くいってしまい 中途半端な技術のままです。 今回きちんと技術を、確立することにしました。

麺は、一番地味な作業が一番大事だったりします。 きちんと生地からの見直しです。 配合割合が分かりやすいように粉(阿蘇のいずみ中力粉)1kg、水500ccに塩3gをきちんと計って入れました。 最終加水は、残りが11gでしたから49%くらいですね。 捏ね方は、三つ折を繰り返しながらやりました棒状にして捏ねると捏ね残しがなくて良いですね。 丸く捏ねると中央部に全然捏ねない部分が出来ることがあります。 三つ折を10回繰り返すと5万9千本の繊維状になる計算ですすごいでしょ。 最初はゴワゴワしていた生地もしっとりと滑らかになります。 これを、ビニールに入れて冷蔵庫で保存します。



月牙刀を新調することにしました。 今愛用の月牙刀は、うちの店の厨房の壁のステンレス板のハギレなんです。 拾ってなんとなく、出来そう!と作ってみたら結構上手くいったんですが いろんな角度で試したため癖が付いてしまいました。また、こんなのが欲しいと 具体的な考えもまとまってきたので、新調することにしました。

1ステンレスの板、友人M君提供のステンレス板ですこれだけあれば千年は大丈夫です。
2切り抜くM君、うちにもトタンバサミがあるのですが、ステンレスには歯が立ちません。 好みの大きさに、切り抜いてもらいます。
3サイズです、縦が17cm幅の広いところが13cm狭いところが9cmくらいです。 今回は、斜めにしてみました、今のは、ストレートで持つときに斜めに持ちますから ストレートに持てる用にです。
4下準備、先ずヤスリでバリを取ります。ステンレスは危険なので手袋が必需品ですね。 ヤスリで鋭いバリを取り、歯になる部分は、一度、90度のストレートな断面におとします。 片刃にするので、一度直角にそろえておいた方が、刃が付きやすいのです
5念のために、M君によると、アスファルトやコンクリートで角を取ると危なくないそうで。 厨房の床駐車場のアスファルトで刃先になる部分以外角を落とします。 念のためテープも貼り安全を確保しました。
6ヤスリで刃をつけていきます、サンダーでやると熱でステンレスが駄目になるそうです。 熱が出ないようにヤスリでやりました、最初から砥石でやってもいいのでしょうが 砥石の減りが早いのと、見ながら出来るので、最初はヤスリでやっています。


8ヤスリでの荒削りも終わり、いよいよ砥石で研ぎます荒砥、中砥、仕上げ砥の順で仕上げていきます。
9方刃ですけど、時々反対側も全体を押し付けるように研がないと、バリ?というのかなが出て切れません。
10砥上がりです、なかなか鋭い刃が出来ました。
11近くにあった、発泡スチロールのトレーを切ってみました。
12いよいよ曲げに入ります、きりのいいところで5cmのところで折り曲げることに。
13板で抑えてきちんと折り曲げることに、前回のは、かなり緩やかに曲げています。 今回は、その反対をやってみます。
14今まで愛用していた月牙刀と比べてみました。 前回の月牙刀は長いです、単純に落ちていた板切れをそのまま使ったためです。 使ううちに、不便を感じるようになり新しい月牙刀を作ることにしました。
15紙を置いてみましたが、これは、切り落とした麺だと思ってください。
切り落とした生地が丁度、ゴルフのサンドウェッジのように切り落とした生地を持ち上げ 釜へ落としやすくなるんですけど、この角度しだいでは、麺の下を潜り抜けて達磨落としのように 丸めた元の生地の上に残ってしまうことがあります。これがおきないように、角度を調整すると 写真のように、極端に高いジャンプ台のように抵抗が大きくて切りにくいのです。 ですから、今回はジャンプ台を低く作ってみました。
16全体的に湾曲させます。これは、丁度雪の上のソリのように生地の上をすべるためです。 最初は、軽く曲げて必要なら強く曲げて行きます。とにかく、試し切りが必要です。
17切ってみました。駄目です妙に切りにくいです。
18生地がヒラヒラと平べったくて、刀削麺の特徴の三角ではありません。 これで茹でてもワンタンですね。
19色々チューニングの結果ある程度は切れる様になりましたがまだまだです。



先の、新調した月牙刀で感じたのは、刃が生地に食い込まないことでした。 ある意味、慣れない人には使いやすいのでしょうが、ある程度厚みがないと 中央部に噛み応え両端はヒラヒラと言う特徴が出にくいのです。 自分で作るプロのラーメン3という本に月牙刀の写真がありました。 よく観ると、刃が逆さについているものがあります。 彫刻等を思い出してもらえれば分かりやすいですが、生地に当たる方を 研いでいましたが、この逆の面から研いだらどうなるんでしょう? やってみました。
1実験ですのでもったいないから、ハギレで実験です。紙で刃の方向を示しましたわかりますか?
2折り曲げて、発削り、いきま〜す!
3ゴツ〜ンて感じで手ごたえがありますちょっと食い込みすぎです。 調整します。
4今度は、食い込みが押さえられましたが別の欠点が出ました。
5切り落とした麺が左へ逃げています。早くやると良いとは思いますが やはり調整した方がいいでしょう。
6分かりやすいようにマジックで書きましたが分かりにくいので補正しました。 ライン1画面左の縦の線が最初に折り曲げた線です。 ライン2右の点線が、食い込みすぎを緩和させるために曲げた線です。、軽く曲げてあると言う意味で 点線です。このラインが丁度ソリのように生地の上をすべるのです。 ライン3これは、生地が左に逃げるのを防ぐために曲げました。 すべて谷線です。
7だいぶ落ち着いてきました。三角が強く中央が厚い生地になります。 歯ごたえがありそうです。
8しかし、生地が荒れますささくれ立ちます。層構造になってる生地が丸太の年輪のようです。 見えますか? これは、刃は生地に潜り込もうとするし、ライン2のソリ構造が生地の上に上ろうとする 相反する力のためだと推測します。
9調整の結果だいぶ楽に切れるようになりました。 10ちなみに新調した月牙刀で切った麺です。こちらは薄くてヒラヒラです。
11右が逆刃で削った後。左が新しい月牙刀で削った後です。 ささくれ立っているのがわかるでしょ?
12全体図です。
13茹でて見ました。中央部の三角の山がくっきりです。 歯ごたえがあります。茹で時間が掛かりますが歯ごたえを求めるときにいいでしょう。



順刃、逆刃とくれば、今度は両刃でしょう。
1今度は、何事にもスクエアーにやることに、何の変哲もない長方形17x13です。
2研ぎました、今度は両刃です。片刃だと微妙に凹凸があり研ぎ難いこともありますが 両刃は、かなり早く研ぎあがりました。
3何事にもスクエアー、曲げも直角に出来るだけほかは曲げずに試し切りです。
4意外なほど、うまくいきました。
5しかし、少し厚くなりすぎですね。
6削り落とした麺です。ここまで厚いと茹でるのが大変です。
7刃に生地が引っ付きます。このように金属のヘラなどで剥がすのですが これである程度研ぐことが出来るようです。落とした後刃先が光っています。 先日の新しい月牙刀を作ったときに疑問に思ったのですが 何回も使っている古い月牙刀は切れが鋭いのに、新しい刃先は切れが悪いのです。 裏技とか見てみると、切れないハサミや包丁でアルミ箔を切ると切れ味が戻るそうです。 切るときに起こる金属摩擦で刃先がとがれるんだそうです。 また、折り曲げる際に、刃先があらぬ方向へ狂うんじゃないかと思っています。 これが原因で、食い込みが強かったり、弱かったりするんじゃないでしょうか? 刃先を金属のへらで擦ることである程度の刃の調整も出来るようです。
8だいぶ安定して切れるようになりました、後は微調整です。 もし、自分で作る人がいたら、このスクエアータイプがお勧めですね。 刃も付け易いし、素直な切れ味でした。


geminizz@hamakko.or.jp

荒川文治(あらかわ ふみはる)
神奈川県横浜市

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