2003/12/31登録
2時間ちょっとのフライトでソウル金浦空港に到着。迎えのワゴンでソウル市内を経由してホテルへ。ハングル一色だった安山に比べると、ソウルの街中は漢字や英語の看板や標識も目に付く。さすが一国の首都だ。
早速その夜、友人の住む清涼里へ。
この東北飯店は看板が漢字のみ。
メニューも漢字。まぁこれなら半分くらいは私でもわかる。
ここは中国黒龍江省から来た中国朝鮮族の人がやってる店である。
韓国なのだから、朝鮮料理をおく必要はない。載っているのは
黒龍江省特有のものであろう。しかし狗肉、冷麺。これらは朝鮮料理であり、
ソウルなら珍しい食い物ではないと思うのだが、こちらのものとは一味違う故郷の味付けなのか?
単に食べる人がいるから置いているだけなのか?
冷麺は後で北朝鮮からの亡命者の店に行くので、ここでは我慢。
水餃。こんなにあって4000ウォン。
豆腐皮の上には山盛りの香菜。奥は麻辣豆付(腐)。箸はステンレスの韓国式。小さなコップは
口杯。ワンカップ大関のように白酒(パイチュウ)がコップに入ってプルトップの蓋がしてある。
いつでもどこでもぐいぐい飲めるわけだ。
香菜は苦手なんですが・・・・。京醤肉絲にもたっぷり。香菜の香りにむせる。
ところでこの店、周囲は皆韓国語(朝鮮語というべきか?)で喋ってる。 どうやら皆朝鮮族の人達らしい。中国人の彼らも母語は韓国語。じゃ、なんで看板もメニューも 漢字にしているのだろうか。聞いてもらった。すると、彼ら朝鮮族人達が韓国への不満を語っていると韓国人客 とトラブルになることがあるそうで、それを避けるため中国人向けの店にしているとのことである。
この店には炸醤麺が無かったが、店の人の話では、近くの黒龍江省出身の人が やってる中華料理店にあるとのこと。
20日、再び清涼里へ。今日こそ中国人の作る中国人向け炸醤麺を食べるのだ。
東北飯店で教えてもらったのはここ東海飯店。しかし、
「昔は中国人がやっていてけど今は韓国人が作っている。でも味は中国人の作っていた時と同じだよ」とのこと。もう少し探してみることにした。
ここ「正統中華料理・中興飯店」も店の前のメニューを見ると、完全に韓国人向けのメニュー。
しかし、腹も空いたのでとりあえず入ってみた。
四川炸醤麺や肉泥炸醤麺ってどんな炸醤麺なんだろう?友人に聞いてもらったら、
「食べればわかる」とのそっけない答。この店も韓国人が経営と調理をしている店であった。
乾炸醤麺。
麺のアップ。中華麺並に細く、断面形状は四角。
これが四川炸醤麺。半熟目玉焼きが載っている。炸醤は味噌っぽさがなく、
あっさりした味。でも辛みがある。これが意外に旨い。
続いて冷麺の調査。以前から行きたかった、モランカク東大門店がすぐ近くにあることが
判明。バスで移動。しかしこの看板、一人じゃ冷麺屋さんであることもわからなかった
ろうなぁ。
水冷麺を食う荒川。
直径1oくらいの細く丸い麺。色は非常に薄いグレー。スープはシャーベット状に凍っている。
「辛みが無いね」と友人。
友人の故郷黒龍江省の冷麺は、辛い醤が入っているのだそうだ。
「麺には違いがある?」。
「もっと太いです。そしてもっと黒いです」。
店員の話では、北朝鮮からの亡命者がはじめたが、今は 韓国人が経営しているとのこと。作っているのも韓国人なのだそうだ。
夜は、吉林省から来た朝鮮族中国人のやってる豊満串店へ。この店も清涼里にある。
串類と主食と酒類と炒菜類。これで全て。池袋の延吉屋とよく似ている。延吉屋も吉林省の
人がやってる。
羊串は広東省東莞でも回族の人が焼いているのをよく見かけたが、
友人の話では、以前はモンゴル族の人が焼いていたらしい。
当時彼の故郷では1本5角(0.5人民元、約7円)だったそうだ。
それが現在広東省では1人民元(約14円)、ソウルで700ウォン(約70円)、池袋で150円という
ことになる(余談ながら、中国の元も韓国のウォンも日本の円も、昔は皆「圓」と書いたそうだ)。
豊満串店の水餃子。
東北飯店も同様だったが、主食に水餃子はあっても炸醤麺は無い。 池袋の延吉屋も、炸醤麺は、メニューの中で延辺料理でも中華料理でもなく、韓国料理の部に 載っていた。また横浜の延吉館には炸醤麺そのものが無かった。 黒龍江省や吉林省では、炸醤麺に人気がないのだろうか?
友人も、今回の調査で初めて私の知りたいことを理解してくれたようである。
山東省出身中国人の作る炸醤麺と、北朝鮮出身者の作る冷麺が食えて、話の聞ける店。
そんな店を彼はいずれ探してくれるだろう。