じゃじゃ麺はジャージャー麺である

じゃじゃ麺はジャージャー麺である

2004/06/02更新

もうちょっと親切にしてあげるべきだった。日本経済新聞2004年5月29日夕刊の味文化面に「盛岡じゃじゃ麺」の記事が載った。実は数週間前に担当記者より取材の申し込みがきていたのだが、依頼の文面に、記者氏が私の「炸醤麺と水餃子情報」を読んでくれてる様子が全くないので、知りたければHPを参考にしてくれと、ちょっとそっけない返事をしてしまった。 読んでくれれば何らかの反応もあるかと心密かに待っていたが、それ以来メールは途絶え、掲載予定日を迎えてしまったのだ。さて氏はどのような記事を書いたのだろうか?


(上画像には、日本経済新聞社法務室より「記事の無断転載なので至急削除せよ」との要求がありましたが、
必要な加工を施し、引き続き掲載しています)

ジャージャー麺に関する情報を公開してもう5年。今では1日のアクセス数も100件を超え、Googleの検索結果でも「炸醤麺」で1番、「じゃじゃ麺」でも1ページ目に掲載され、相当世間に認知されていると自分では思っていた。しかし、内容は全く伝わっていないのではないか?私の5年は何だったのか?この記事を目の前にして暗澹たる気持ちになったのであった。

しかし落ち込んでばかりもいられない。このような記事が世に出てしまったのは私にも責任がある。ここは少しでもこの記事によって広まったかもしれない誤った情報を訂正するお手伝いをさせていただくことにしたい(以下赤字が記事からの引用)。


中華を和風に。一見、中華のジャージャー麺風だが、麺や肉みそが違い、独自の食べ方もある。

盛岡・白龍 北京・魯博軒

よーく見ても中華料理のジャージャー麺である。中国でも様々な麺や炸醤(肉みそ)を使うが、盛岡のものは、麺といい炸醤といい食べ方だって北京のものに良く似ている。特に白龍他で使われてる中野製麺の麺は北京のものと全く同じと言ってよい。


出たきたのはまさに”肉みそ皿うどん”

横浜・リンガーハットの皿うどん

皿うどんには全然似ていない。肉みそ皿うどんという別の料理もあるのだろうか?


肉みそはねっとりとして、かなり濃厚。塩味が強い。
記者氏の感想なので尊重すべきだが、私は濃さ、塩気ともに家の物に比べてちょっと物足りなさを感じている。 味は中国でも様々である。盛岡よりもっと塩辛いものあり、全然みそが入ってないんじゃないか?と思うものあり。


鶏蛋湯(ちーたんたん)と呼ばれる卵スープだ。
鶏蛋湯で良いのね?これは私があてた漢字なんだけど。中国で、にわとりのたまごのスープは鶏蛋湯。非常にポピュラーなスープである。


戦時中に中国東北地方で食べた味が忘れられず、豆板醤(とうばんじゃん)の代わりにみそを使い、
豆板醤は現在(おそらく当時も)通常唐辛子の入った辛い醤(ジャン)である。中国でこれを炸醤のメインの材料として使うことは無い。北京では黄醤を使う。その黄醤は全く辛くない。


中国のジャージャー麺を、岩手県産の南部小麦を使った麺に置き換えたことなどが、地元の人の支持につながった。中華麺にはない独特の風味が食欲をそそるのだろう

盛岡・白龍 北京・老北京炸醤面大王

そりゃ中国では南部小麦は入手困難だろうが・・・。中国東北地方で中華麺は使わない。もう一回書くが、中野製麺の麺は北京のものと全く同じと言ってよい。


みその色やニンニク臭さ、ぐちゃぐちゃに混ぜる食べ方などは、初めての客にはとっつきにくい。


広東省・黒天[我鳥]。かき混ぜられちゃう 韓国・インスタント炸醤麺のCM

炸醤麺は拌麺である。拌麺とは、かき混ぜ麺という意味だ。例えば中国ではビビンバのことを拌飯と書く。東京などでは、かき混ぜるという本来の食べ方が忘れられたということなのである。


なぜ、じゃじゃ麺と呼ぶのか。漢字で書くと炸醤麺。日本では一般的に「じゃーじゃーめん」と発音するが、それが短縮されたとの説が有力だ。市観光課の田口さんは、「中華麺とは材料も味も違う。呼び方も変るのが自然」とみる。盛岡では驚いた時に「じゃじゃじゃ」という。


神戸・ぎょうざ苑もジャジャメンと書く

まず、この勘違いは白龍が炸醤麺のことをじゃじゃ麺と書いたのが発端であろう。当時日本には炸醤麺をジャージャー麺と書く決まりも無かったし、北京語の発音はザージャンミェンなのだから、じゃじゃ麺でも何でも良かったのである。しかし東京あたりで、どこから来たかわからない中華麺を使ったジャージャー麺が盛岡人の目に触れ、あるいは東京人が盛岡で、白い麺の炸醤麺を見て、きっと東京のほうが本物に近く、盛岡のような地方のものは、訛った(耳障りの良い言葉でいえばアレンジ)料理と思ったに違いない。そしてアレンジ品なんだから名前も変えたという誤解が生まれたのであろう。まぁこのあたりは、今後田口さんともじっくり話さなければと思っている。

間違った情報を公開しているのは非常に恥ずかしいことです。幸いHPは、一度世に出しても後からの変更が可能なので、今後も調査を続けより正しい炸醤麺情報にしていくつもりです。そのためには皆様のご協力が必要です。情報をお持ちのかたは是非「炸醤麺と水餃子大好き荒川のブログ 」にお知らせください。


geminizz@hamakko.or.jp

荒川文治(あらかわ ふみはる)
神奈川県横浜市

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